世界の終わりに柴犬と

作者:石原雄

巻数:3巻(連載中)

出版社:アスキー・メディアワークス

掲載誌:Twitter

発売日:2018/11/21~2020/12/23


内容

 人がいなくなり荒れ果てた世界の終わり.そんな世界で,最後の人間となった女子高生が柴犬のハルさんと一緒に旅をしている.彼女は動物と話ができる力がありハルさんと色々な会話をしているわけですが,ハルさんの話は文学者のように高尚で哲学的,そして屁理屈に満ちています.それに対してご主人はぐーたらな性格でハルさんの言うことも右から左へ流します.ちょっぴり相性が悪そうに見えますが,お互いに強い絆で結ばれているふたりはいつだって一緒です.旅の途中で,ふたりは色々な犬や動物,妖怪や宇宙人にも出会います... 非日常世界を巡る,不思議で楽しい物語が続いていきます.

雑感

 作者がTwitterに投稿していた漫画が人気を集め,単行本化した作品です.私もこの作品をTwitterで見かけ,独特な世界観に引き込まれました.

 なぜ世界が終りを迎え,たった一人の人間が残されたのか,詳しくは本書を読んでもらいたいのですが,はっきりとした答えは明らかになっていません.というか,そこは本作の重要な点ではないのです.可愛い顔した柴犬が難しい話をしているギャップに,そして心の底からご主人を愛している純真な心に癒やされる.それが本作の魅力だと思います.

 また,突然コントを始めたり,時に相手を振りまわすご主人とハルさんの関係性も憧れます.強い絆があってこそこういうことができるんだなって.

 さらに単行本の巻末には描き下ろし漫画があり,世界が終わりを迎えなかったパラレルワールドの世界を描いています.これがまた,涙腺にくるお話でして.これはぜひ単行本を読んでいただきたいです.

この作品が

好きなら!

オンノジ/施川ユウキ(秋田書店)

 こちらも「誰もいなくなった世界」を描いた4コマ